中学生以下日記 番外編

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「理想雀士道場」 by キムタクinH・L


俳優の萩原 聖人さんの企画・立案による、この【理想雀士道場】が
月刊近代麻雀誌上で発表される前に、
僕は既に、土田 浩翔プロが道場主をつとめる、【土田道場】の門下生として活動を開始していました。
このことは発表されるまでは、ハートランドのスタッフにも秘密に行動しなくてはいけなかったため、
(その割には随分早い段階からばれていたような気がしますが・・・・・)
ドキドキ・ハラハラ、複雑な心境でのスタートでした。

「土田道場」の門下生として活動するにあたって、
最初にしなくてはならない事、
それは土田さんと、僕と、同じく門下生の女性、市川 真名さんとのご対面&自己紹介でした。
土田さんとは以前に一度だけ、”ギャンブル大帝(ケーブルテレビの麻雀番組)”に
ハートランドスタッフの代表として出演した時にお会いした事がありましたが、
市川さんの事は、会うまでは誰も何も教えてくれなかったので、
不安が心をよぎり、ちょっとドキドキでした。
聞くところによると、市川さんは何と当時(8月中旬頃)は全く麻雀を知りませんでした(!)。
「全く知らないというのは大げさでしょ?」と思う人もいるかも知れませんが、
これが本当に全く何も知らなかったのです。
そんな彼女を見て、思わず僕は数年前麻雀を覚えようとしていた自分の事を思い出し、
懐かしさがこみ上げてきました。

当時中学生だった僕には、教えてくれる人などいるわけもなく、
(僕は最果ての地、稚内の出身だという事を知っていれば想像がつくと思いますが・・・・)
まして、麻雀の世界にプロという存在があった事すら知らなかったので、
悪友と4人でありったけの知識を出し合い、
高校受験を目前にしながらも、親に内緒で必死で覚えたものでした。

さて、一応初心者ではない(と思っているだけ?)僕に、土田さんは技術的な事ではなく、
最初に、TV対局における”見せ方(魅せ方)”をレクチャーしてくれました。
あくまでも、”華麗に、カッコ良く”とのことでした。
その後、いよいよ中身についての指導です。
僕クラス(どのクラスかは謎?)にも分かりやすいように、
いろいろな事を箇条書きスタイルで教えてくれました。
そして、常にテーマとして前提にあるのは、”これが土田道場の麻雀だ!”という事です。
分かりやすく言えば視聴者に、
”今、何をしたいのかが分かる、意思のある麻雀を打つ”
という事です。
この事を教わって、頭の中では理解できているつもりでも、なかなか実行できなかったりして、
正直いって収録の時もそう打てるのかどうか、全く自信がありませんでした。
麻雀というゲームは、
”打ち手の性格や人間性といった内面的なモノを正直に映し出す事が多い”
と、僕は考えます。

それまでの僕の麻雀は、ツモに合わせた手なりの麻雀、良くいえば対応型。
しかしそこにはあまり意志はなかったように思います。
これは今までの僕の生き方にもよく似ていて、
時間と共に無難に歳を取っていく、まさに手なりの人生でした。
(しかし、僕は手なりがダメだとは言えないとも思います。)
配牌を取って、局が終了した際の最終形と捨て牌に意志があるか無いか、
最終形が同じであっても、そこに辿り着くまでのプロセス。
ここが問題だということです。
いきなり僕の弱点(欠点)を見抜かれ、そこを矯正すべく、
”意志を持つ”というテーマを打ち出したのかな?とも思えます。

この段階で僕とは対照的に、強い意志を持っている道場主・土田さんに、
打ち手というよりは、一人の人間として尊敬の念を抱き始めていました。
そして、次第に身も心も土田色に染まっていき
ある時は《土田道場の門下生》、
またある時は《ハートランドのアルバイトクルー》、
そしてあるときは《大学生》という3つの顔を持ち、
多忙な毎日を送る事になりました。
言うまでもなく本業は大学生なので、時間がなかなか取れず、
練習の回数はとても少なかったのですが、その分、内容は濃いものであったと思います。

基本的には、僕が麻雀をしている後で、土田さんがダメ出しをするというスタイルでした。
普段あまり否定される機会が少ない為、
後ろから、「ここはコレを切りなさい。」とか、
「こういう時は○○しなさい。」などといった一言一言が、
変かもしれないのですが、新鮮で嬉しくて、とても充実していました。

また、麻雀というものは、確率や効率といった概念では測れないことが多く、
オカルトな思考が必要な局面もたくさんあるような気がします。
僕は、そのような数字では表すことの出来ない部分を中心に、
さまざまな疑問を投げかけ、自分の思った事を素直に伝えるようにしました。
そのひとつひとつに、土田さんは真剣に受け答えしてくれました。
もしかしたら、その教えや理論が絶対ではないのかもしれません。
また、麻雀においては、”絶対”という言葉すら存在しないのかもしれませんが、
結果が出るまでのプロセスにおいて、”思考や意志がとても大事である”
という考えを植え付けてくれた土田さんに、とても感謝しています。
どうしても結果だけに捕らわれるような生き方をしてきた自分にとっては、
革命的な事で、人間としても大きく成長する事ができたように思います。
そして、麻雀の深い部分に、ほんの少しだけ近づけたような気もしています。

月日が経つのは早いもので、東京に経つ日が来てしまいました。
東京へ行くのはもうかれこれ5年ぶりです。
ホテルにチェックイン、なんとそこで萩原 聖人さんとご対面。
実は、僕は彼の大ファンです。思わず見とれてしまいました。
更に光栄な事に、一緒に卓を囲む事になりました。
いつもブラウン管の向こう側で格好良く演じているあの人が対面で麻雀をして、
更に、笑顔で話し掛けてくるではありませんか。
そんな夢のような一瞬が続き、気付くと夜中の3時でした。
もう収録当日です。
それぞれの道場の個性がぶつかり合い、どんな素晴らしいドラマが待っているのだろう?
緊張と期待感で、なかなか寝付けませんでした。

ここまで読んで頂いて、闘牌シーンを待ち望んでいる人が多いと思いますが、
残念ながらそこにはあえて触れません。
「なぜ?」って、実際に放送を見てもらったほうが、よりリアルに楽しめるという事と、
きっと面白い番組に仕上がっていて、”百聞は一見にしかず”と思えるからです。

今回は、準備段階でのプロセスや、心境の変化などを中心にお伝えしました。
もし皆さんが放送を見て、(11月27日放送予定)
何か心を動かされる事や、心に残る事があったなら、素敵に思います。

最後になりましたが、こんな僕を素晴らしい企画に推薦してくれた
スーパーバイザー氏・ご指導頂いた土田さん・
いろいろな事で協力して頂いた麻雀夢道場のスタッフの皆さん・
そして快く送り出してくれたハートランドスタッフ達に感謝の気持ちを綴って、
この番外編の日記を締めたいと思います。

本当にありがとうございました。

QueenMark