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「何を切る?4月分解答」
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大貝 博美プロ の解答 

雀士といえば歯が命です。
苦境に陥った時には歯を食いしばってそれを打開するのが勝負師の条件、
脆弱な歯では食いしばることもままなりません。
というわけで私、職場近隣の歯医者にここ半年通いつめています。
お世辞にも上手いとは言いづらい歯医者なのですが、
夜10時まで診療してくれる便利さゆえか8時に勤務を終える私が行く頃にも
たいてい数人の患者さんで賑わっています。
ところが困ったことに先生は1人しかおらず、
あとは数名の歯科衛生士のお姉さんがいるばかり。
そこで患者さん達は6台ある診療台に一列に寝かされて、
その間を先生が渡り歩くということにあいなります。
むろん6人並んでいようとも一度に複数の患者さんを診られるわけもないので、
衛生士さんに歯石の除去をさせたり、
『麻酔が効くまでお待ちください』などと言ってお茶を濁すわけです。
結果として実際には10分しか治療してもらってないのに
診療台には2時間以上もいたなどということがままあります。
そんな時間を無駄にせぬよう
この文章も歯医者の診療台の上でケータイのメールを使って書いています。
かちかち。           
そろそろ本題に移らないとクレームがつくか接続を切られる頃合いです。

それでは。
若くして惜しまれつつこの世を去った安藤満プロがかつてこのように言っていました。
あ、隣の患者さんの治療が終わったみたいです。
少々お待ちください。           
・・・失礼しました。
ようやく診てもらえたのですが、ひどい目に遭いました。
前歯をさし歯にするべく先週仮り歯をつけたのですが、
これがなんとしても外れないのです。
ノミ状の器具を当ててハンマーで叩きますが、その力が次第に強くなってきます。
あいたたた。
最初確かに 『ちょっとだけ辛抱してくださいね』と言われたはずですが
世間一般に言うところの“ちょっとだけ”というレベルはとうに過ぎています。
笑顔だった先生もいつの間にやら真剣な表情、額には汗まで浮かんでいます。
そしてさっきのセリフとはだいぶ違うニュアンスで
『我慢できなくなったら左手を上げてください』と言う先生。
こうなったら雀士としては意地でも手など上げるわけにはいきません。
だんだん格闘技の様相を呈してきました。
びくともしない仮り歯に叩き疲れたのかついに手を休め、
眉間を寄せて『いやー・・・』と途方に暮れる先生。
そんなに困られても困ります。
痛いばかりかだんだん悲しくもなってきました。
しかし小休止のあと気合いもろとも叩きつけた先生渾身の一撃で
さすがの仮り歯もついに外れました。
我々の勝利です。
あとで戻すはずの仮り歯はどこかに飛んでいっちゃったけど。
『・・・お疲れでしょうからお口をゆすいでちょっと休みましょうか』
と自分も疲れ切っている先生が言います。
むろん異存はありませんが、
考えてみれば悪戦苦闘したわりに仮り歯が外れた以外には何も進展していない悲しい事実。
あれ?診療台が上昇してる。
どうやら落ちた仮り歯を探しているみたいです。
厄介な先生だなあ。
ということで再度訪れた空白の数十分を利用してまた続きを書いています。
なんでしたっけ?
ああ安藤プロの話ですね。
生前安藤プロが書かれたものに
「5巡目までの全員の捨て牌を合わせて
その中に数牌のトイツが3組以上あればその局はトイツ場になる」
という一節があります。
そこで設問の捨て牌に目を転ずるとトイツとなっているのはの1組のみ。
『おおそうか、この局はシュンツ場なのか』と
さしものチートイツ好きの私もに手をかけるわけです。
しかしこの手牌、いろいろ考えるまでもなくたいていの人はを切るのではないですか?
ロスは少ないし手役は狙えるしドラの受け入れもあるし。
正直なところ、今回の解答に添えるコメントとしては3行もあれば十分なんですね。
でもそれだと恒例の無駄な長文を楽しみにされている
道内数名の皆様の期待を裏切ることにもなりかねませんし、
なにより治療待ちの暇つぶしにさえなりません。
なので今回の教訓としては日々の歯磨きを欠かさずに!
そして歯医者とフリー雀荘は慎重に選びましょう!ということで。
札幌ならハートランド、関東ならラブラブボンバー横浜店がいいらしいですよ。
あ、先生が戻ってきた。
さっき落とした仮り歯、お願いですからちゃんと消毒してからつけてくださいね。


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