大貝 博美プロ の解答 |
北海道の皆さん、あけましておめでとうございます。 昭和の香りを漂わせながら、 確率とはかなり縁遠いところで戦っている大貝です。 どれくらい昭和かというと、 暮れに機種変更したばかりの携帯は旧来型のいわゆるガラケー。 正真正銘、筋金入りの昭和なのです。 ショップで『スマートフォンじゃなく、普通の携帯がほしいんですが』と言ったら、 店員さんに仰天されました。 たくさんあるカウンターの一つに案内されるまで1時間も待たされましたが、 イスから転げ落ちそうになった店員さんの反応から推察するに、 あの溢れかえっていたお客さんたちはみなスマホに変えるんでしょうか。 するとスマホの方がむしろ「普通」なわけで、 言葉の使い方がすでに昭和の証明になっていたかもしれません。 そして機械に疎い私ですから、 文字数3万を超える観戦記もむろんこの文章も、 携帯のメール機能を使って書くのです。 片道1時間半かかる通勤電車の中、 吊り革につかまりながら片手でひたすら入力するわけですが、 あらためて周囲を見渡すと手にしているのはみなスマホ。 こうなると旧態依然の携帯を出しているのがなんとなく気恥ずかしく思え、 目の高さでなく腰のあたりで控え目にピコピコしています。 ちょっと離れた座席で笑っている女の子たちの話題は、 もしかするとこの携帯だったりして。 こころなしか、他の乗客の視線も私の手元に集まっている気がします。 ひょっとしたら私が立ち去ったあとの携帯ショップでも、 ガラケーが何ヶ月ぶりかに売れた話で持ち切りだったりするのか。 ああ恥ずかしい。 でもこのコーナーは被害妄想ブログでもスマホ販促キャンペーンの一環でもないので、 そろそろ本題に移ります。 何切る問題の中には、確率的に正着を求め得るものもありますよね。 例えば次の手牌。 ツモ ドラ プロによるテレビ対局からの引用ですが、これはを切る一手でしょう。 リャンメンかサンメンチャンを先にひいた時の牌姿、例えばツモの この牌姿が 以外のピンズを先に切った時のこれらの形に大きく優るからです。 この手牌の持ち主は体調でもすぐれなかったのかに手をかけてしまいましたし、 解説者もどうしたことかツモ切りを推しておりましたが(笑)。 一方今回の問題、これは確率で答えを出せる類の形ではありません。 何を選ぶにしろ、「これが正着」と自信を持って切ることにはならないでしょう。 「これに決まってる」と思いながら切る分には結果が裏目と出ても納得できるのですが、 こういう手はイヤですね。 すでに今この瞬間もパズルですが、 この先にもいくつかの岐路がありそうで、 こんなのは好調時に来るような牌姿ではないと思っています。 好調時はもっとわかりやすい手格好になるものだと。 それでもアガリに向かうとして、 そしてまたメンツ手に重きを置くとしたら、 あたりを1枚外すのがよいでしょうか。 一応は123のサンショクをにらみつつも、 ドラのをすぐにツモるようなら、 さらにを追い打ってとにかく好形を残すつもりで。 あるいは打とする打ち方もありますね。 この場合は123サンショクをより重視し、ドラをひいた時にはを雀頭にする構え。 いずれにせよ、の部分との部分、 その片方はこのままの形で残し、 もう一方は3枚を一気に切り捨てることになりそうです。 こう打ってなんとか贅肉を削ごうとするわけですが、 それでも当分の間は隙だらけの手格好になりそうなんですね。 ノーメンツなのに中張牌が多過ぎるのです。 「東場の親は目一杯に構える」という方もいるようですが、 私は逆に「東場だからこそ、あまり余裕のない構えにはしたくない」人です。 ブクブクの手牌にした頃合いで相手に先手をとられたら、 多少未熟な形でも開き直って押し返すしかなくなりますよね。 これは実戦でもテレビでもよく見る光景。 でも始まったばかりで、そんなエネルギーを使いたくはないのです。 そもそもこの問題牌姿、 マンズのスジトイツを見てもひとスジがすっぽり抜けているソーズの形を見ても、 そうやすやすとシュンツができるとは思えないんですね。 配牌でリャンメンターツがたくさんあるのに、 ほぐしてもほぐしてもツモがタテに来てしまいシュンツができない。 トイツ場でよくあるケースですが、 これもそんな手に見えて仕方ありません。 したがってこの局に私が目指すのはチートイツ。 ただし積極的にアガリをとるためではなく、 「安全そうな牌を抱えながら半身で手を進められるから」がその理由です。 どうですこの後ろ向きっぷり。 でもこれでいいんです、 東場は極力脚を使わず終盤に矯めておくのが私の打ち方なので。 この局は少ない失点ですめば御の字、と見ます。 こんな受け身のチートイツでひょっこりアガリをとれたりすると、 連チャンの次局にはきっといいコトがありますし。 また回答は打としましたが、実はでもでもいいのです。 は赤牌ツモに備えて後回しにしますが。 とにかく先行き危険になりそうな牌を早めに処理し、字牌・端牌を貯めおきたい。 わずか2巡であっても、全員の捨て牌がタンピン志向を窺わせるこの場況なら特にそう思います。 『脂っこい単独牌という理由で切るなら、 ドラ表示牌でトイツでもあるのスジのが先じゃないの?』 そう言われそうですが、これはいかにも自分のツモ筋にありそうで切れません。 先に処理したを中盤過ぎに持ってきたら、 その1牌で完全に手終いすることになりそうですし。 なお「がツモ筋にありそう」の理由については、 このコーナーをいつもご覧になっている土田ファンの皆様には説明するまでもないでしょう。 1局が終わる頃に『トイツ場だったのか・・・』とわかっても意味はないわけで、 トイツ手の名手は1巡でも早くツモの傾向をつかむべく心を砕いています。 土田プロしかり故・安藤満プロしかり。 両先輩ならこのマンズとソーズの形を見て、いち早くトイツ手に照準を絞ることでしょう。 安藤プロの場合は上家か下家から早々に一つだけ仕掛け、 ずらしたツモ筋でクイタンをアガるかもしれませんけどね。 なおこの文章と同時にアップされる土田プロの回答が 「タンピンサンショク狙いで・・・」などというものだったとしても、 私は一切の責任を負いかねますよ(笑)。 このコーナーでは年初の回答者として指名されることが多い私ですが、 新年早々オリてばかりいる気がします。 士気を高めるお役に立てず、なんだか申し訳ないですね。 でももう大丈夫、先月から”ナショナルジオグラフィック”という雑誌の定期購読を始めましたので。 「世界最大の巨木」とか「果てなき宇宙への夢」とか、とにかく広い視野が養われそうな本です。 ですから次に回答者として呼ばれる時には、 もっとグローバルで男らしい答えが出せるかと思います。 最後に余談の中のまた余談をもう一つだけ。 知り合いの若い子が携帯の機種変更をしに行くと言うので、 『ちなみにガラケーからガラケーに機種変更する人ってどれくらいいるんですか?』 と尋ねてきてもらいました。 すると女性の店員さんに 『もうほとんどいらっしゃいませんね。 ごくたまに、年配の方が旧来型をお求めになるくらいです』と言われたそうで。 単純にスマホの普及度合いに興味があっただけなのに、 ストレートに年寄り呼ばわりされて怒っているのです、私。 「怒るくらいなら、最初からそんな質問させなきゃいいのに」と言われればその通りですし、 まあ実際「年配の方」なんですけどね。 でも年配には年配の意地があるわけで、 『こうなったら一か八かスマホに変え、その失礼きわまりない発言をした店員さんを見返してやろうか』 と迷っているところです。 ただそうした場合には次回の回答は「機種変更失敗談」の様相を呈し、 例によって麻雀に関係ない話を本題の何倍もつづることになる気もするのですが。 それでは今回はこのへんで。 2013年の皆さんの麻雀ライフがより豊かなものになりますように。 |