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「何を切る?1月分解答」
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大貝 博美プロ の解答  


あけましておめでとうございます。
昨年も特筆すべき活躍のなかった大貝です(笑)。
麻雀以外の部分でも、10月に行ったラスベガスでひどい目に遭いましたし。
つまりあまりいい年ではなかった、ということですね。
午年である今年は天馬のごとく「より速くより高くより美しく」をモットーに打ち、
よい年にしたいものです。

お、これは新年早々なかなかの好配牌じゃありませんか。
と引くだけでヤミテンでも親っパネ。
ワクワクするのでしょうね、普通の人ならば。
でも私の場合はちょっと違います。
みなさんが胸をときめかすようなこんな配牌をいきなりもらうと、
『これをアガりそこなったらこの先大変なことになっちゃうぞ』と、
別の意味で緊張しちゃうんです。

産まれた時からの流れ論者である私は、
”体勢”を常に意識して打っています。
「相手と自分のツキ具合を測りながら打ち、進退の決定や打牌選択にも変化を加える」
ということです。
そして私が長らく検証し続けている仮説の中には
「アガれるはずの手をアガらなければ体勢が落ちる」というものもありまして。
したがって出題の状況ならば「どう転んでも打点に不満のない手である以上、
とにかくアガり切ることが最優先課題」と考え、
有効牌を減らさないようにから切ることになるのですね。

いきなりサンショクを否定することに抵抗がある方もおられましょうが、
開局の親で打点十分であるならば、
ヘンにこね回さず自然な手順でまっすぐ進める方がいいと思っています。
こう打った場合でも序盤のツモにがあれば自然に234のサンショクになりそうですし、
最終形が端がかりのマチになればよりアガりやすくもなるでしょうし。
スケールが小さいようですが、やっぱりからしか切れません。
『打は天馬らしくないじゃん』と言われれば、確かにその通りなんですけどね。

流れを重んじる打ち手の代表格といえば土田浩翔プロでしょう。
今回も同じ問題に回答されているはずです。
土田プロはきっと、
「最高形を目指さねば、仮にアガれたところで状態は悪くなります。
ましてこのように必要な尖張牌(37牌)が全部揃っている手は
『サンショクを狙いなさい』と天が言っているようなもの。
アガれなくてもいいから345のサンショクに邁進しましょう」と、
あたりを選択されたりするのでしょう。
今回の「土田プロなら何を切る?」にはちょっと自信がありますが、
まあそれはどうでもいいことですね。
要は「運量を増やす」という目標は同じでも
人によってアプローチの仕方が全く違うということで、
このあたりも麻雀の面白さだと思っています。

『流れなんかない』と言い切る人たちにとって、
この文章自体が噴飯モノであることは承知しています。
でも『ひょっとしたらあるかもしれない』と考えて仮説→検証を重ねる方が、
確率だけで麻雀を打つよりよほど楽しいし、その人の力も伸びると思うんですけどね。

あらゆるスポーツ・勝負事において「流れ」という概念が普通に受け入れられているのに、
なぜ麻雀にだけ否定派がいるのか逆に不思議に思う次第です。

ついでに豆知識のコーナー。
”体勢”という言葉の元来の意味は「体の構え、姿勢」ですが、
この言葉を「麻雀における打ち手の運量」という意味で
初めて用いたのは古川凱章先生だと思います。
私が所属する101競技連盟の元理事長で、かつては最高位戦でも闘われていましたし、
週刊ポスト誌に連載されていた著名人対局の観戦記でも有名な方です。
この”体勢”が実に味わい深い言葉で、似たような言葉には”牌勢”というものもありますが、
前者の方には綜合的な運気により重点を置いているようなニュアンスがあります。
したがって麻雀を主題として会話する時には不可欠な言葉であり、
これを作っていただいた古川先生には頭が下がるばかりです。
であるにもかかわらずこの”体勢”の麻雀的用法が、
なぜにいつまでたっても辞書に載らないのか不思議でなりません。
がんばれ広辞苑。
ちなみに古川先生は”対局観”(大局観ではない)という麻雀用語も編み出していますよ。


ハートランドさんのこのコーナーには年初のゲストとして呼ばれることの多い私ですが、

たいていネガティブな回答をしている私がなぜ1月担当なのか、私自身よくわかりません。
何切る?でオリを意識する打ち手は私くらいでしょうし、
「年の初めはドカンと大物狙い」の方が景気づけになるでしょうにね。
まあおそらくは15%くらいいるはずの慎重派(打派)の方々への
エールになればいいかなと思っています。

それではまた。
みなさんの麻雀ライフがより豊かなものとなりますように。


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