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「何を切る?1月分解答」
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大貝 博美プロ の解答  切り

普通はのツモ切りから入るのでしょうね。
三色も見えるなかなかの好手。
いや、本当にそうでしょうか。

尖張牌がかくも見事に抜けている手牌、
私にはとてもアガれるように見えません。
漫然と手を進めた結果、テンパイにいたらないうちに
リーチを何軒か受けて手詰まって‥‥
というシナリオの方がありそうに思います。
「有効牌ばかりをツモることもあるだろう」と言われますか。
しかしたまたま劇的な好ヅモに遭遇して早めにのうち2種を引きこみ、
さらに首尾よく雀頭までできて先手をとれたとしても
打点2600のカンチャン待ち。
たいして高いわけでもなく形も悪い、
そして他家の切り出しにはやる気が感じられる。
これね、アガリに向かわない方がいい局なんですよたぶん。
リスクが勝ってるように思えます。
「リーチすれば5200、それほど悪い打点じゃない」とも言われそうですね。
それはたしかにそうですが、もしも他家の反撃を喰った時には
かなり分が悪い勝負をすることになりますね、形の上で。
そして「もしも」と書きましたが、
反撃が来るのはそれほど稀有なことではありません。
そればかりか、フリー卓での開局は
ぶつかり合いになることの方が多いように思います。
したがって
「先制リーチで他家にオリてもらい、
一人旅になったらツモアガるチャンスが増える」
という一見もっともな戦略をよく聞きますが、
これも希望的観測にしかすぎないのではないかと。
ちょっと不思議な話ですが、こういう戦略を堂々と開帳している人に限って
相手のリーチにいきなり中抜きしたりはせず、
ギリギリまで粘ろうとする傾向があるようです。
そして1牌か2牌は強めの牌を飛ばしたりも。
自分はなかなかオリようとしないのに
『自分のリーチには全員がオリるはず』と思い込んでしまっているわけで、
この点は以前から永遠のナゾです。
話が逸れかけましたが、要するにこの手は
「ネックが多過ぎて簡単に仕上がりそうにない。
また好ヅモに恵まれテンパイまで行き着いた場合も、
それがアダとなって失点につながることも多々ある」
という手だと思うんですよ、私。

したがって私の回答は「自発的アガリ放棄」。
ど真ん中の先行き危険になりそうなところをいち早く切っていくことにします。
ヘタにどこかのカンチャンをひいてしまいやる気が出てしまうとイヤなので、
ターツを壊すところから入りたいですね。
いちおう親の裏スジであるを一番手にしましたが、
2枚あるの切り順を先にするのもアリですね。


この2巡目からの捨て牌はいずれかの並びとなり、
その間に安全度の高い牌が備蓄される予定です。
なお100回に1回くらい、そうしてる間に
勝手にジュンチャンサンショクの手格好になることもあります。
その場合は手牌全体が安全度の高いものになっているでしょうし、
あらためてアガリへの可能性を探ることになりましょうか。

『何切るでオリるバカがいるのか』と思われる方もいることでしょう。
しかし2005年1月を皮切りに過去14回の回答者をつとめてきた私、
ずっとこんな答えを書いてきたのです。

しかもほとんどが年初の回答で、
景気をつけるべき年の初めに他に例を見ないほど
後ろ向きの回答を書き続けてきたわけで。
読まれた方々はさぞかしストレスをためられたことと思います。
ご迷惑をおかけしました。
でももう大丈夫。
なぜならこれが私の最後の回答になりそうだからです。
101競技連盟という団体に所属している私、
昨年は私事都合でリーグ戦を休場したのですが
その間に雀力が極端に落ちてしまいまして。
101といえば「業界屈指の守備集団」と定評のある団体なのですが、
今の私は守る力をどこかに置き忘れてきてしまったようで、
同僚に
「日本全ツッパ連盟でも興して理事長になればいいんじゃない?
『ツ連』という略称はけっこうイカしてるよ」
と揶揄されるほどのていたらく。
極限まで偶然性を排した101競技を打つ能力を、
もはや私は持ち合わせていないようなんです。
そして歌を忘れたカナリアはジタバタすることなく、
潔く身を退くのがいいんじゃないかと考えています。
すると恥ずかしながらつけられていた「プロ」の肩書きもなくなるわけで、
今までのようにわけ知り顔で答える資格はなくなると考える次第です。

このたび回答するにあたり、
過去14回にわたる自分の回答を全部読み返しました。
むろん駄文の積み重ねでしかなかったわけですが、
「2006年2月出題分」として答えさせていただいたものだけは
まあまあの出来だったように思います、
手前味噌ではありますが。
人づてに聞いたところでは「東大を出たけれど」の
須田良規プロもほめてくださったようなので、
ヒマでヒマでしかたないという方は一度お目通しいただけましたら幸いです
(なおこの場を借りてお詫びしますが、
須田さんにその件のお礼を申し上げる機会も手段もなく
大変心苦しく思っています)。
ウリであるはずのムダな長文を新たに考えることなく
過去の文章でお茶を濁そうとすることも、
回答者としての資質を失ったことの証明であるように思えます。
この辺がいいキリなのでしょう、全てのことに関して。
それではこのへんで。
皆様の麻雀ライフがより豊かなものとなりますように。
長い間おつきあいいただき、本当にありがとうございました。


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