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People 12 異なる世界と孤独


 おはようございます。
昨夜カプセルホテルに泊まった僕は、ちょっとゆっくりめの朝9時起床。
チエックアウトが朝10時だったため、いつもよりのんびりすることができました。
爽快に目覚めた僕は、ホテル内にあるサウナを利用して
朝食を済ませ、ホテルを後にしました。

さて、今日は長野の友達と会う日なのですが、
友達は夕方近くにならないとこちらに到着しないため、
それまで僕は長野市内でのんびり過ごすことにしました。
長野駅にモロロン号を止め、寝袋やテントなどの荷物をロッカーに詰め込んだ僕は、
この旅始まって以来の身軽な行動ができる体になりました。
そんな僕が駅前でとった行動は「人間ウオッチング」(注:ナンパじゃないですよ)!(苦笑)、
しかしこれもひとりでやっているとなんと寂しいことか・・・・・。

ひとり長野駅の前でたたずんでいると色々な思考が頭をよぎる・・・・。
「なんかわずか数日だけど色んなおもしろいことがあった気がする♪
でもこの先、どこまでモロロン号と旅を続けることができるんだろう?」
そう思った僕はすかさず財布の中身を確認しました。
あぁ〜!!正直、金銭的な問題が僕の前に立ちはだかっているのです。
お財布には残高5万円弱、帰りのフェリー代なんかを除くと
あと4万円くらいが実際に今回の旅で使える限度額です。
今までの一日平均モロロン号が進める距離と旅費を考慮すると
鳥取県を抜けるのがおそらく限界と判断できる。
ちなみに帰りの手段は、舞鶴(京都府)から小樽へのフェリーと考えていたため、
(京都より南下すると北海道直行フェリーがないからです)
鳥取まで行ってしまうとまたそこから京都へと引き戻さなければならなくなってしまう・・・・・。
ウ゛〜どうしよう。無計画すぎる旅のツケが徐々にまわってきてしまいました。
まぁ、でも今さら考えてもしゃ〜ないですよね、
そんな気まぐれさんの僕はプラプラと街の探索に出かけ、
夕方までの時間を堪能しました。

午後6時くらいだったでしょうか、友達がそろそろ長野駅に着くというので
僕らは駅で待ち合わせをすることに・・・・・。
数分後、背後から・・・・・
 「お〜い、○○○ちゃ〜ん!」っと、友達の僕を呼ぶ声が聞こえた♪
久しぶりの声を聞き、振り返った僕は元気に手を振った。
別に札幌でいつでも会える友達なのに、この感動はいったいなんなのでしょう・・・・・。
再会した僕らはすぐにバカなことを言い合い、
そして「飲みに行くかぁ〜!!」と街の中へと消えていきました*

僕らは時間の経つのも忘れてお酒を飲み続け、盛り上がっていました。
そんな中、友達がまじめに質問を投げかけてきました。

友達: 「どうして旅にでたん?なんで旅しようと思ったの?」
僕: 「なんでだろな・・・・・旅に出る前は色んな理由があったよ、
好奇心とか期待感とか、でも実際に旅続けてると、
そんな理由なんてどうでもよくなって、チッポケに思えてきたよ。」
友達: 「なんかわかるようでわからんけど、どういうこと?」
僕: 「ん〜・・・・・旅に出たらわかるよ(笑)!」
友達: 「う゛ー、全然わからん、でもなんかかっこいいなぁ*あはは〜」

楽しい時間はあっという間に過ぎてゆき、
僕の長野での最後の夜は終わりを告げました★
とても大変な思いをしてここまで辿り着いたのに、
ここに来た目的は達成され、わずかな時間で幕を閉じた。
花火職人は花火を作るのに膨大な時間を割く。
そして打ち上げられて「花」が咲くのは一瞬だ。
まるで似たようなものだ、でもその一瞬のために努力してがんばっていくのも
ひとつの選択なのかもしれない。
まぁいずれにしてもここに来てよかった。
明日からまた旅の続きをしよう。

翌朝、友達と友達の家族に見送られて、
僕は次の目的地「金沢」目指して出発しました。
ここから金沢へは札幌〜函館間位の距離があります、
まぁ、今日はとりあえず日本海へ出ることを目標に頑張ります!
モロロン号と共に走り出した僕は、数時間かけ昼頃に白馬に到着しました。
そして昼ご飯を食べ少しの休息。
ここからはもう日本海に向け糸魚川市という所までほとんど下り坂です。
それもそのはず、道は違えど行きは日本海から坂を上ってきたのです。
日本海に戻るとなると当然下り♪
ちょいとペダルを踏むとモロロン号はドンドン前に進んでいきます。
なんと心地よいことか、まるでバイクに乗っているみたいです。
そんな快適気分もつかの間、道は次第に狭くなってきました、片側一斜線で、
大型トラックがビュンビュンと僕の横を走っていきます。
そしてさらにトンネル地帯に突入!
トンネル内部はさらに狭くしかもやたら長いときたもんだ、
歩道なんてもちろん無い。
トラックが通るたびに僕は風圧で壁に体を擦られる、
トンネルを抜けても抜けても次のトンネルが僕をまっている、
しかも極めつけにしばらく経ってから気づいたんですが、
長いトンネルの前には必ずといっていいほど花が供えられているのです・・・・・。
怖い、冗談ぬきで怖すぎました*

そんなトンネル地帯をなんとか越え、ゆるやかな平地に差し掛かった頃には
もう辺りはすっかり暗くなっていました。
まだ糸魚川市には辿り着きそうもない、日も沈んでしまったし体力の限界でもある。
前にも後ろにも行けない状況で、僕はこの辺にテントを張ることにし、
ペダルをこぐ足を止めて自転車を降りました。
この日、自転車をこいでいると度々
僕の視界に姫川という広く大きな川が映っていました。
広く、大きな川と言ってもこの時この地点で流れている水はごく微量で、
例えて言うなら、両側あわせ6斜線の道路の真中を
一輪車が走っているような感じなんですよ、
それを見てると最初はとても滑稽だったんですが、
しばらく見てるとなぜかとても心を打たれる。

この小さな流れはいったいどこにいくんだろう、現実的に考えるともちろん海だ。
ホントに海に辿り着くことできるのかな?
僕は明日、日本海を目指します、ホントに着くことできるのかな?★

旅の真の効用は、そこで出会う異なる世界からではなく、
いつもの自分からの離脱から生じる。
旅のもっとも有意義な要因は、孤独なのである

フランチェスコ・アルベローニ

つづく

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