People−13

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People 13 新たなる回路へ


昨日、いつもより早く寝たせいかなのか、空腹のせいなのか、
朝日が昇る前に僕は、モロロン号と走り始めていました。
この旅始まって以来の早起きは、なんだか僕の旅を急がせているようです。
そして、日本海を思ったよりも早く目にすることができました。

「やったぁ!ついに海に出たぞ、もう、ここからはどんどん先に進んで行こう」。
ほとんど平地の海岸沿いはやっぱり楽です、楽ちんです♪
長野への道のりを越えた僕にはへっちゃらすぎて困ってしまう。

“今日は走るぞ。日が暮れるまで、とことん走ろうどこまでも。”

朝食を済ませ、また走る。
昼ごはんを食べ、またまた走る。
そして夕方も過ぎて夜8時、
本日の出発地点から約150キロ離れていた金沢に到着しました。
めっちゃくちゃ走りましたぁ〜、体力の限界でございます。

僕の「行ってみたい所ランキング」に上位に位置している金沢。
夜の金沢の街並は、とてもとてもきれいでした。
軒を連ねる飲食店やデパートなんかがどこまでも続いていて、
大勢の行き交う人々が僕の視界に飛び込んでくる。
その金沢に足を踏み入れ、僕が痛烈に思ったことは、
「ここはチャリ旅行でくるとこじゃないっす。
いつか、ゆっくり足を伸ばしにまた来ます。」

モロロン号とフラフラの僕は、夜の金沢に寝床を探すことにしました。
しかし、長野の街中で野宿するところを発見できなかったのに、
ここ金沢でそんな所あるわきゃない。
カプセルホテルにはもう泊まれない・・先のことを考えると金銭的に無理だ。
しょうがないから、この喧騒を離れるまでがんばって走ろう、それしかない。
走っても、走っても金沢から抜け出せない。
でも、なんとも魅力的な街であります、
いつの日か絶対に訪れたいものです。

数時間経ち僕は街からだいぶ離れた、
おそらく運送会社の私有地と思われる一角に寝床を確保し、転がっておりました。
今日はホントによく走った、15時間以上も走ってる。
人間体力の限界などは勝手に自分が想定しているだけだと思えた。
精神的なもの次第でそれは無限へと変わっていく。
自分の置かれている環境に応じた能力へと自然に変化していくものなんでしょうね。

長野からここまでの道のりの中で、僕は今後の旅の方針を決めていました。
「*緊急発表ですが、敦賀、もしくは舞鶴(京都)からフェリーに乗って、
僕とモロロン号は北海道に帰ることにいたしました。*」
このままだと、金銭的な問題でどこかで引き返さなくてはならなくなってしまう、
いっそ中途半端になるんなら、北海道に一度戻って道南でもまわってみよう、
そして今年の夏はそれで終わり、来年また舞鶴から旅の続きをしよう。

唯一心残りになりそうなのは、
僕が日本で一番行ってみたい「鳥取砂丘」を見ないで帰ることだ。
ちなみに世界で一番行ってみたいのは「エジプト」、両者に共通するのは「砂漠」。

行きたい理由はとてもヘンテコリン、
僕はちっちゃい頃からよく同じ夢を見てた。
「おとなになった僕が砂漠の真中を歩いているんです。
そして、いつしか歩いているはずの僕が砂のように崩れていき、
やがて消えていってしまう」。という、なんだかコワイ夢。
砂漠が僕の還る処なのだろうか?
デジャブのようになるのだろうか?
でも夢を見るたび行かなきゃならないっていう思いが強くなってしまうんですよ。
そんなわけで、どこの砂漠なのかわからんですけど、
鳥取砂丘に行ってみたかったのです。

ここからなら砂丘にはあと2,3日もあれば着くと思うけど、
来年また必ず旅に出るための楽しみとしてとっておくことにします。
明日は敦賀目指してがんばります。
それではそれでは★

つづく

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